ファットアダプテーション?中鎖脂肪酸?脂質について

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こんにちは。
藤田丈裕です。
「ファットアダプテーション」という言葉をご存知でしょうか?
実は、恥ずかしながらぼくは最近知りました。。
ファットアダプテーションと言えば、サッカーの長友選手が有名で、今年6月末には長友選手の専属シェフのレシピ本も発売されたようです。
長友選手は脂質を上手に使った食事方法を実践されているそうです。
ぼくも脂質など、身体の中に入れるものは可能な限りこだわるようにしていましたが、最近知ったことを皆様にもシェアしていきたいと思います。
と、いうことで今回は油についてお話していきます!

 

注目のオイル「MCTオイル」って何?

中鎖脂肪酸100%の油のことをMCTオイル(Medium Chain Triglyceride)と言います。
「MCT」の主成分、中鎖脂肪酸は、ココナッツやパームフルーツに含まれる植物成分です。
MCTは、一般的な油よりもすばやく消化・吸収されすぐにエネルギーになりやすいという特徴を持っています。
油の特性は脂肪酸の種類や長さによって異なります。
脂肪酸の長さで分類するとキャノーラ油やラード、オリーブオイルなどの一般的な油は「長鎖脂肪酸」と、その長さの半分の「中鎖脂肪酸」があります。
中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸に比べて長さが短いため、水になじみやすい特徴があります。
そのため、一般的な油と代謝回路が異なり、すばやくエネルギーになりやすいことが特徴です。
長鎖脂肪酸の油は、小腸で消化吸収されたあとリンパ管や静脈を通って脂肪組織や筋肉、肝臓に運ばれ、必要に応じて分解・貯蔵されます。
中鎖脂肪酸は、小腸から門脈を経由して、肝臓に入り、分解されます。
一般的な油と比べ約4倍速く分解され、短時間でエネルギーになることが特徴です。
これまでの医療現場でMCTは利用されており、健康分野やスポーツ現場での活用に広がり、今後は認知症予防としても注目されています。

 

脂質の種類を整理しましょう!

三大栄養素の一つである脂質は「エネルギー源や細胞膜などの身体の材料になる」という役割があります。
エネルギー源といっても、私たちの身体や脳の主なエネルギー源は「糖質(炭水化物)」です。
糖質が不足したときに脂質やタンパク質がエネルギー源になる仕組みが備わっています。
脂質やたんぱく質がエネルギー源になるには、様々な回路を経て様々な栄養素やエネルギーを消費しエネルギー源となるので、あまり効率の良いエネルギー源ではありません。
ですが、中鎖脂肪酸(MCT)は、先述した特徴を持っているのでショートカットしてエネルギー源になってくれるため効率の良いエネルギー源として注目されています。
ちなみに、三大栄養素の1gあたりのカロリーは糖質→およそ4キロカロリー、たんぱく質→およそ4キロカロリー、脂質→およそ9キロカロリーです。
使わないエネルギーは、脂肪になってエネルギーを貯蔵してくれますが、ネックになりがちな脂質が使いやすいエネルギー源になってくれるならとても良いですね!

 

脂質の主な成分は「脂肪酸」です。
炭素数(長さ)や飽和度で分類されます。
中鎖脂肪酸は炭素数による分類です。
よく耳にするオメガ3やオメガ6脂肪酸は、不飽和脂肪酸であり、飽和度で分類されているものです。
飽和度で分類した脂肪酸は飽和脂肪酸(固形)と不飽和脂肪酸(液体)に分けられます。
さらに不飽和脂肪酸はオメガ3(n-3系)、オメガ6(n-6系)、オメガ9(n-9系)に分かれます。
オメガ3は、DHA・EPA・アマニ油など
オメガ6は、サラダ油・大豆油など
オメガ9は、オリーブ油・キャノーラ油など
オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸は人の身体では作られない必須脂肪酸です。
特にオメガ3脂肪酸は身体の炎症を沈める抗炎症作用や脳機能の向上が期待できるため積極的に食事から取り入れることがオススメです。

 

ファットアダプテーション とは

ファットアダプテーションとは、高脂質・低糖質の食事を長期間続けることで脂質(ファット)を身体に適応(アダプテーション)させ、脂質をエネルギー源として効率よく使えるようにする食事法です。
PFC比(PFCバランス)という三大栄養素のたんぱく質(プロテイン)、脂質(ファット)、糖質(カーボ)の比率がありますが、日本人の食事摂取基準2020年版(厚生労働省)では、Pたんぱく質13-20%、F脂質20-30%、C炭水化物50-65%、となっているところ、ファットアダプテーションでは、Pたんぱく質15% 、F脂質70-80%、C炭水化物5-10%のように脂質比を増やし、炭水化物を減らした食事です。
その脂質のエネルギー源に中鎖脂肪酸を用いることで、エネルギー源になるケトン体を効率よく得ることができるため、MCTはファットアダプテーションの食事にも用いられています。
長友選手はいろいろな食事方法を試した中で、マイルドなファットアダプテーション(Pたんぱく質25%、F脂質55%、C炭水化物20%)が競技にも自分にもあった食事だったようです。
サッカーという競技は90分間ハードで高強度なスポーツの印象が強いですが、実際には90%が有酸素運動のように低強度のスポーツであることが研究結果で示されています。
低強度の 運動時のエネルギー源は糖質と(炭水化物)と脂質であり、糖質が身体に蓄えられる量が限られるため、長時間の運動時は脂質がエネルギー源として重要になります。
ファットアダプテーションは適応・順応という言葉で示されるように、脂質を上手に使えるように身体の中で代謝効率が変わっていくわけです。
ただ、通常と違うエネルギー代謝を順応させることがすべての人に良いかは違う話だと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?
糖質制限やケトン体など様々な言葉や情報が飛び交う昨今ですが、良いと言われる根拠が必ずあります。
しかし、それは目的ありきということです。
世間で良いと言われていても、自分の目的にあっているかは別の話ですから、全部を鵜呑みにするのはまた違うと考えます。
今回ご紹介した中鎖脂肪酸はすばやくエネルギー源として活躍してくれます。
ということは、脂肪もつきにくいということです。
一般の方も活用しやすい物だと思います。
特に、糖質がうまく使えない場合や食事量が少ないけど、摂取カロリーを増やす必要のある場合など効果的です。(例えば、スタイルよくするために脂肪を減らしつつ、筋肉量を増やしたい時など。)
もちろん、脂肪をつきにくくするひとつの工夫として、普段の食事に使うオイルをMCTオイルに切り替えるだけでもいいと思います。

 

ファットアダプテーションに切り替える場合、個人や競技によって合わない場合もあります。
スポーツの場合だと、短距離走など短い時間で高い強度の運動が必要な競技は、糖質がエネルギー源になるので、脂質の役割は低くなります。
それに比べ、マラソンのように長時間で低強度の運動で食事回数をなるべく減らしてカロリーは取りたい場合など、中鎖脂肪酸はもってこいですね。
また、オイルはとても使いやすいですが、秋に旬を迎えるDHA・EPAが豊富な青魚の「さんま」といった食材も積極的に味わっていただきたいと思います!

【体重とカロリーについてはこちらをご覧ください。】