【脱・猫背】デスクワークの正しい座り方!意識しても続かないなら「あえて反り腰」から始めませんか?

デスクワークで感じる、つらい肩こりや腰の痛み。
なんとかしたくて「正しい座り方」を試してみたものの、気づけばいつもの楽な姿勢に戻っていませんか?

実はそのお悩み、あなただけではありません。
この記事では、良い姿勢が続かない根本原因から見直し、無理なく理想の姿勢を目指すための新しいステップをご提案します。

その肩こり・腰痛、原因は「座りすぎ」より「座り方」かも?

ほとんどの人が「猫背」か「がんばりすぎ姿勢」

デスクワーカーの多くは、無意識のうちに背中が丸まった「猫背」の姿勢で作業をしています。
あるいは、良い姿勢を意識するあまり、胸を張りすぎて腰が緊張した「がんばりすぎ姿勢」になっている方もいるかもしれません。
どちらも身体の一部に負担が集中しやすい、注意が必要な座り方です。

「正しい姿勢」を意識しても続かない本当の理由

なぜ、正しい姿勢は続かないのでしょうか。
それは、良い姿勢を保つために必要な筋肉が、普段使われていないために「お休み」しているからです。
意識の力だけで、使い慣れていない筋肉を長時間働かせるのはとても難しいことなのです。

あなたのデスク環境、見直しませんか?

正しい姿勢を実践する前に、まずは環境を整えることが大切です。
椅子に深く座ったとき、足裏全体がしっかりと床に着くか、モニターの上端が目線と同じか少し下にあるかを確認してみましょう。
この少しの調整が、身体への負担を大きく左右します。

「良い姿勢」の前に、まず「猫背」を卒業しませんか?

「猫背」が身体に一番悪いってホント?

猫背姿勢は、頭の重さを首や肩の筋肉だけで支えることになります。
さらに、腰の骨で体重を支えられないため、腰の筋肉にも大きな負担がかかってしまうのです。
この筋肉への過剰な負担が、慢性的なこりや痛みの大きな原因と考えられています。

【提案】猫背より断然マシな「意識的反り腰」という選択肢

そこでおすすめしたいのが、良い姿勢を目指す準備段階としての「意識的反り腰」です。
これは、だらんと崩れた猫背でいるより、骨で体重を支えやすくなるため、筋肉への負担を減らすことができる座り方です。
あくまで理想の姿勢への通過点ですが、猫背を抜け出すための非常に重要なステップになります。

姿勢特徴メリットデメリット
猫背  骨盤が後ろに倒れ、背中が丸まっている。無意識でいられるため楽に感じる。首・肩・腰の筋肉への負担が非常に大きい。
意識的
反り腰
骨盤を立て、背筋を自然に伸ばしている。骨で体重を支えやすく、筋肉の負担が少ない。長時間続けると腰の関節に負担がかかる場合がある。

注意!「悪い反り腰」との違いはココ

ここで言う「意識的反り腰」は、お腹を突き出して腰を過剰に反らせる「悪い反り腰」とは全く違います。
あくまで「骨盤を立てた結果、自然に生まれる腰のカーブ」を意識するものです。
痛みを感じるほど反らせるのは、逆効果なので注意してください。

なぜ「反り腰」が理想の姿勢への近道になるのか

多くの方が陥る猫背の状態から、いきなり100点の良い姿勢を目指すのは、ハードルが高いものです。
まずは「猫背(30点)」から「意識的・反り腰(70点)」を目指すこと。
そうして身体が正しい骨盤の位置を覚えることで、最終的に「理想の姿勢(100点)」へとスムーズに移行できるのです。

今日から実践!「意識的反り腰」から始める姿勢改善ステップ

STEP1:まずは骨盤を立てる感覚を掴む

椅子の前方に座り、坐骨で座る

椅子に少し浅めに座り、お尻の下に手を入れてみてください。
左右にゴリゴリと触れる硬い骨、それが「坐骨(ざこつ)」です。
その坐骨に均等に体重が乗るように座ることが、骨盤を立てる第一歩になります。

タオルやクッションを使う裏ワザ

もし感覚が掴みにくい場合は、タオルを丸めたものや、座面用のクッションをお尻の後ろ半分に敷いてみましょう。
自然に骨盤が前に傾き、坐骨で座る感覚をサポートしてくれます。

STEP2:「意識的反り腰」で座ってみる

骨盤を立てた状態のまま、その骨盤の上に背骨を一本一本積み上げていくイメージで、ゆっくりと上半身を起こします。
胸を張りすぎるのではなく、頭のてっぺんを天井から糸で軽く引っ張られているような感覚です。
これが、本記事でご提案する「意識的反り腰」の姿勢です。

STEP3:最終ゴール「骨で立つ」理想の姿勢へ

「意識的反り腰」に慣れてきたら、最後の仕上げです。
腰の反りを少しだけ和らげるように、おへその下にある骨「恥骨」を持ち上げるように少しだけ骨盤を起こしてください。
骨盤の上で上半身がすっと安定し、筋肉の力みが抜けた「骨で立つ」理想の姿勢が完成します。

※本来、骨盤を後ろに傾ける「恥骨をあげる」動きは猫背を作りますが、反り腰になる動きのクセがつくると猫背になれずに止まります。

30分に1回は立ち上がろう!おすすめ簡単ストレッチ

どんなに良い姿勢でも、長時間同じでいるのは禁物です。
30分に1回は立ち上がり、身体をリセットしてあげましょう。
座ったままでもできる、簡単なストレッチをご紹介します。

  • 首のストレッチ
    1. 右手で左の側頭部を持ち、ゆっくり右に倒します。
    2. 反対側も同様に行い、気持ちよく首筋を伸ばしましょう。
  • 肩甲骨のストレッチ
    1. 背中で両手を組み、ぐーっと胸を開きます。
    2. 次に、体の前で両手を組み、背中を丸めて肩甲骨の間を広げましょう。
  • 体側のストレッチ
    1. 両手を組んで上に伸ばし、ゆっくりと体を真横に倒します。
    2. 脇腹が気持ちよく伸びるのを感じながら、左右行いましょう。

まとめ

  • 「正しい姿勢が続かない」のは、必要な筋肉が使えていないから。
    意識だけで続けようとするのではなく、身体の使い方から見直すことが大切です。
  • 猫背を卒業するために、まずは「意識的反り腰」を目指しましょう。
    いきなり完璧を目指すのではなく、段階的に姿勢を改善していくことが成功の秘訣です。
  • 骨盤を立てる感覚を掴み、30分に1度は身体を動かす習慣を。
    日々の小さな意識と習慣が、未来のあなたの身体を健やかに保ちます。

つらい不調の原因が「座り方」にあると分かっていても、なかなか続けられないことに悩んでいたかもしれませんね。
完璧な姿勢を意識しすぎて、かえって身体を疲れさせてしまうこともあります。

まずは今日から、マイナス点の猫背から抜け出すための一歩として、「意識的反り腰」を試してみませんか。
その小さな変化が、あなたのデスクワークをより快適なものに変えてくれるはずです。

参考文献

  • 河野 俊介『健常成人における骨盤傾斜角度の変化が座位姿勢に及ぼす影響』理学療法科学(2013)
  • Claus AP, Hides JA, Moseley GL, Hodges PW『Different ways to balance the spine: subtle changes in sagittal spinal curves affect regional muscle activity.』Spine(2009)
  • Caneiro JP, O’Sullivan P, Burnett A, et al.『The influence of different sitting postures on head/neck posture and muscle activity.』Manual Therapy(2010)
  • 厚生労働省『職場のあんぜんサイト:腰痛予防』厚生労働省

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