脂肪をエネルギーに変える?ファットアダプテーションと中鎖脂肪酸(MCT)の仕組みを解説

「ファットアダプテーション」という言葉を聞いたことはありますか?

サッカーの長友選手が実践していることで注目されたことのある食事法で、「脂肪を効率よくエネルギー源として使える身体に変えていく」という考え方です。

今回はこの「ファットアダプテーション」の基本的な仕組みと、重要な役割を果たす「中鎖脂肪酸(MCT)」について、初心者の方にも分かりやすく解説します。


ファットアダプテーションとは?

**ファットアダプテーション(Fat Adaptation)**とは、高脂質・低糖質の食事を一定期間継続することで、身体が「脂質(fat)」をエネルギー源として使いやすい代謝状態に“適応(adaptation)”していく食事法です。

本来、私たちの身体の主なエネルギー源は「糖質(炭水化物)」ですが、ファットアダプテーションでは糖質を減らし、脂質を中心とした食事をとることで、脂質をより効率的に使える身体に変えていくのが目的です。


PFCバランスの違い

一般的な日本人の食事では、以下のような栄養バランス(PFCバランス)が推奨されています:

  • たんぱく質(P):13~20%
  • 脂質(F):20~30%
  • 炭水化物(C):50~65%

一方、ファットアダプテーションではこのバランスを大きく変えます:

  • たんぱく質:15〜25%
  • 脂質:55〜80%
  • 炭水化物:5〜20%

このように、糖質の摂取量を抑えつつ、良質な脂質を積極的にとることがポイントです。

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注目される“中鎖脂肪酸(MCT)”とは?

MCT(Medium Chain Triglyceride)オイルは、ココナッツやパーム由来の中鎖脂肪酸100%の油で、ファットアダプテーションとの相性が抜群です。

🔬 特徴

  • 通常の油(長鎖脂肪酸)より4倍早くエネルギー化
  • 消化・吸収が早く、直接肝臓に届きケトン体を生成
  • 血糖値を上げにくく、エネルギー切れの防止にも◎

💡 医療・スポーツ分野での利用も進んでおり、最近では認知症予防など健康分野でも注目されています。


脂質の種類を整理してみよう

脂質=悪者のように思われがちですが、実際には以下のような種類と役割があります。

分類内容主な例
飽和脂肪酸(固形)常温で固まる脂ラード、バターなど
不飽和脂肪酸(液体)常温で液体、健康効果が高いオリーブ油、魚油など
オメガ3(n-3)抗炎症・脳機能サポートDHA、EPA、アマニ油など
オメガ6(n-6)取りすぎ注意サラダ油、大豆油など
オメガ9(n-9)安定性が高いオリーブ油、キャノーラ油

中鎖脂肪酸(MCT)はこの分類とは少し別軸で、**脂肪酸の“長さ”**によって区分されます(一般の油は長鎖脂肪酸)。


誰に向いている?ファットアダプテーションの適性

✅ 向いている人・競技

  • 持久系スポーツ(マラソン・サッカー・登山など)
  • 空腹時間が長くなりやすい人
  • 糖質制限中でもエネルギーを確保したい人
  • 脂質代謝を高めて“太りにくい身体”を作りたい人

⚠ 向いていない場合

  • 短距離走やウエイトリフティングなど瞬発系競技
  • 血糖値のコントロールが不安定な人(導入時は注意)

普段の食生活にどう取り入れる?

ファットアダプテーションを本格的に行わなくても、以下のような工夫は誰でも始められます。

  • 朝食や間食にMCTオイル入りコーヒーやヨーグルトを取り入れる
  • 糖質の摂取量を少し意識しつつ、脂質やたんぱく質を増やす
  • 魚(DHA・EPA)を積極的に摂る:例)秋の「さんま」など

魚を摂るなら鯖缶もオススメ!
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まとめ:良質な脂質を上手に使う工夫を

脂質は「太るもの」ではなく、「使い方次第で味方にもなる栄養素」です。
特に中鎖脂肪酸(MCT)は、スピーディにエネルギーになる優秀な脂質であり、糖質を制限する時やダイエット・運動時のエネルギー源として非常に便利です。

ただし、すべての人に向いているとは限らないため、目的に合わせて無理のない範囲で取り入れるのがポイントです。
「脂質とうまく付き合って、太りにくく・疲れにくい身体をつくる」
そのヒントとして、ぜひ今日から活用してみてください!