その治らない腰痛や肩こり、もしかしたら無意識のうちにしている座り方が原因かもしれません。
特にデスクワーク中など、気づくと椅子にもたれて腰がだらしなく丸まっていませんか?
この記事では、そんな“ずっこけ座り”が体に与える影響と、専門家の視点から見た正しい改善策をわかりやすくお伝えします。
今日からできる簡単なストレッチで、しなやかで健康な体を目指しましょう。
もしかして、あなたも「ずっこけ座り」?まずは座り方をチェック

「ずっこけ座り(仙骨座り)」とは、骨盤が後ろに倒れた座り方のこと
ずっこけ座りとは、椅子に浅く腰かけ、背もたれに寄りかかるようにして骨盤が後ろに倒れてしまう座り方のことです。
本来、座るときに体を支えるべき“坐骨(ざこつ)”というお尻の骨ではなく、その少し後ろにある“仙骨(せんこつ)”という骨で座ってしまっている状態なんですよ。
このため「仙骨座り」や、骨盤が後ろに傾くことから「骨盤後傾座り」とも呼ばれています。
30秒で完了!あなたの座り方危険度チェックリスト
ご自身の座り方がどうなっているか、一度チェックしてみましょう。
□ 椅子に座ると、すぐ背もたれに寄りかかりたくなる
□ 気づくとお尻が座面の前に滑り、浅く座っている
□ 腰と背もたれの間に、こぶし一つ分以上の隙間が空いている
□ 椅子に深く座ると、太ももの裏が圧迫されて疲れる
□ 立ち上がるときに「よっこいしょ」と腰に手を当てることが多い
一つでも当てはまる方は、ずっこけ座りのクセがついているかもしれません。
なぜ危険?ずっこけ座りが引き起こす5つの深刻なデメリット
では、ずっこけ座りを続けていると、具体的にどのような影響があるのでしょうか。
1. 治らない腰痛・肩こり・首こりの温床に
背骨が本来持つS字カーブが失われ、重い頭を支えるために首や肩、腰の筋肉が常に緊張してしまいます。
2. スタイルが崩れる「ぽっこりお腹」と「垂れ尻」
骨盤が後ろに倒れると、内臓が本来の位置より下がり、ぽっこりお腹の原因になることがあります。
同時にお尻の筋肉も使われにくくなるため、ヒップラインが崩れる一因にもなり得ます。
3. 呼吸が浅くなり、自律神経が乱れやすくなる
背中が丸まることで胸郭(きょうかく)という胸の骨格が圧迫され、自然と呼吸が浅くなってしまうんです。
これが、なんだか疲れやすい、すっきりしないといった不調につながることも考えられます。
4. 血行不良による冷えやむくみ
お腹周りや足の付け根にある太い血管が圧迫されるため、全身の血の巡りが滞りやすくなります。
5. 将来の転倒リスクや寝たきりにつながる可能性も
特にご高齢の方の場合、ずっこけ座りは体を支える中心である体幹の筋力低下に直結します。
それが将来的な転倒リスクを高めてしまう可能性も指摘されているんですよ。
ずっこけ座りと反り腰、本当に避けるべきはどっち?
「反り腰は悪」という思い込みが、ずっこけ座りを助長する
正しい姿勢を意識するあまり、「反り腰になってはいけない」と強く思っていませんか。
実はその思い込みが、かえって腰を丸める“ずっこけ座り”を招いているケースは少なくないんですよ。
リスクを比較!「丸まった腰」vs「反った腰」
ここで、専門的な視点から二つの姿勢のリスクを比べてみましょう。
姿勢 | 椎間板への影響 | 筋肉への影響 |
---|---|---|
ずっこけ座り(丸腰) | 前方への圧力が強く、ヘルニアのリスクを高める可能性 | 背中側の筋肉が常に引き伸ばされ、緊張する |
適度な反り腰 | 圧力が比較的均等にかかる | 背筋と腹筋のバランスが保たれやすい |
このように、背骨にとっては丸まっている状態の方が、負担が大きいと考えられるのです。
目指すべきは「反りすぎない」理想的な骨盤のポジション
理想的なのは、背骨が自然でゆるやかなS字カーブを描いている状態です。
これは多くの方が「反り腰」と誤解している姿勢かもしれませんが、腰への負担が最も少ないニュートラルなポジションなんですよ。
大切なのは“反りすぎ”を避けることであって、腰を反らすこと自体が悪いわけではないのです。
今日から実践!ずっこけ座りをリセットする3つの改善策
STEP1:まずは基本!「坐骨」で座る正しい姿勢の作り方
タオル一枚で、骨盤を立てる感覚を簡単に掴むことができますよ。
- フェイスタオルを丸めて、少し硬めの棒状にします。
- 椅子の座面にそのタオルを置き、タオルのすぐ手前にお尻を置くように深く座ります。
- お尻の下でゴリゴリと当たる、左右二つの骨(坐骨)を感じられたらOKです。
- その坐骨で座面を真下に押すような意識で、すっと背筋を伸ばします。
この坐骨で座る感覚が、正しい姿勢の基本になります。
STEP2:ガチガチの裏ももを伸ばす「ハムストリングストレッチ」
骨盤が後ろに倒れる原因の一つが、太ももの裏側にあるハムストリングの硬さです。
座ったままできるストレッチで、しっかりほぐしていきましょう。
- 椅子に浅く腰かけ、片方の足を前に伸ばし、かかとを床につけます。
- つま先は天井に向け、背筋はまっすぐ伸ばしたままにします。
- その姿勢のまま、股関節から体を前に倒し、太ももの裏が心地よく伸びるのを感じます。
- 20〜30秒キープし、反対側の足も同様に行います。
※注意点:背中が丸まらないように、おへそを太ももに近づけるようなイメージで行うのがポイントです。
▶前屈が硬い原因は太もも裏?骨盤のために抑えておきたいハムストリングスのストレッチ
▶ハムストリングスとは?太もも裏を鍛えて姿勢と膝を守るトレーニングと使い方
STEP3:お腹のインナーマッスルを鍛える「簡単エクササイズ」

正しい姿勢をキープするには、天然のコルセットと呼ばれるお腹のインナーマッスルを鍛えることが大切です。
ドローインという簡単なエクササイズをご紹介しますね。
- 椅子に正しく座るか、仰向けに寝て膝を立てます。
- 息をゆっくりと、すべて吐ききります。
- お腹をへこませたまま、浅い呼吸を繰り返します。
- 30秒ほどキープすることから始めてみましょう。
気づいた時にいつでもできるので、日常生活に取り入れてみてください。
▶ドローインはもう意味ない?時代遅れと言われる理由と本当の効果を徹底解説!
▶呼吸で腹筋を鍛える!ドローイン&ブレーシングで体幹が整う腹圧トレーニング
▶【体幹トレーニングの基本】ドローインとブレーシングの違いとは?正しいやり方と応用まで完全解説!
まとめ
- ずっこけ座りは骨盤が後ろに倒れた危険な座り方 腰痛やスタイルの崩れだけでなく、自律神経の乱れなど様々な不調につながる可能性があります。
- 「反り腰は悪」とは限らない 腰が丸まってしまうずっこけ座りの方が、背骨にとってはリスクが高いと考えられます。
- 正しい姿勢は「坐骨で座る」ことから 簡単なストレッチやエクササイズと合わせて、まずは骨盤を立てる意識を持つことが改善への第一歩です。
長年のクセを直すのは、少し根気がいるかもしれません。
でも、ご自身の体と向き合い、少しずつ意識を変えていくだけで、体はきっと応えてくれますよ。
今日お伝えしたセルフケアを、ぜひ毎日の生活に取り入れてみてください。
正しい姿勢が、あなたの毎日をより快適で健やかなものにする手助けとなれば嬉しいです。