なぜ長時間の運転で腰が痛くなる?原因は”骨盤の倒れ”と”振動”にあった!

  • 投稿カテゴリー:腰痛

長時間の運転後、車から降りた瞬間にズシンとくる腰の重み。
「またか…」と、うんざりしている方も多いのではないでしょうか。

その運転中の腰痛、年齢や長時間のせいだと諦めていませんか。
実はその痛み、”ある部分”の意識を変えるだけで、驚くほど楽になるかもしれません。

あなたの腰痛、本当の原因は「座りっぱなし」だけではなかった?運転中に忍び寄る”骨盤後傾”と”振動”

多くのドライバーが無意識に行っている「腰を痛める座り方」

運転中の自分の姿勢を、正確に把握している方は少ないかもしれませんね。
実は、アクセルを踏むために少し足を上げる動作だけでも、骨盤は無意識に後ろへ倒れやすくなっています。
さらに、職業ドライバーの方は腰に負担がかかりやすいという報告もあり、その一因として車の揺れ、つまり”振動”も関係していると考えられています。

”骨盤後傾”があなたの腰を破壊するメカニズム

「骨盤が後ろに倒れる(後傾する)」と、背骨の理想的なS字カーブが崩れ、いわゆる猫背の姿勢になります。
この状態は、背骨のクッションである椎間板に大きな負担をかけてしまいます。
ある研究では、立っている時よりも、悪い姿勢で座っている方が腰への負担が何割も増えるというデータもあるほどです。

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【最重要】シート設定は「骨盤を安定させ、腰のS字カーブを保つ」こと

シート設定の目的は、ただリラックスできる角度を探すことではありません。
「骨盤をしっかりと立て、腰の自然なカーブを維持する」ことこそが、最も重要なゴールです。
理想的な運転席のモデルについての研究でも、骨盤を安定させることが腰への負担を減らす鍵とされています。
ちなみに、その理想的なモデルの一つとして、背もたれを約10度後ろに傾けることが挙げられています。

具体的なシート設定の手順

  1. まず、お尻をシートの最も深い位置までしっかりとつけます。
  2. ブレーキをいっぱいに踏み込んだ時に、膝が少し曲がるくらいの位置に座席の前後を調整します。
  3. 背もたれを一度立て気味にしてから、骨盤を少し前に傾ける(立てる)意識で座り直します。
  4. その骨盤の位置をキープしたまま、背中全体がシートにつくように背もたれの角度を微調整します。

この時、腰を反らせすぎるのは逆効果なので注意してくださいね。

運転中でもできる!専門家直伝「1分姿勢リセット術」

しかし、どれだけ良い姿勢を意識しても、長時間同じままだと筋肉は固まり、血行も悪くなってしまいます。
そこで、赤信号で停車した際など、安全が確保できる状況で試せる簡単なリセット術を取り入れてみましょう。
固まった筋肉を動かし、血流を促すことで、痛みの蓄積を防ぐ助けになります。

骨盤前傾キープもも上げ

  1. 骨盤を立てた正しい姿勢を意識します。
  2. その姿勢を崩さないように、片方の太ももをゆっくりと少しだけ持ち上げます。
  3. ゆっくりと下ろし、反対側も同様に行います。
  4. これを左右交互に数回繰り返します。

ポイントは、ももを高く上げることよりも、骨盤を立てた姿勢を維持することです。
純粋に股関節だけを動かす練習なので、最初は難しいかもしれませんが、練習する価値がとても高いです。

※信号待ちで練習する際は、安全を確保した上で、片方10回で1セットにするなど、無理のない範囲で行ってください。

ドローインもコルセット筋ともいわれるコルセット替わりになる筋肉を鍛えられるのでオススメです。
呼吸で腹筋を鍛える!ドローイン&ブレーシングで体幹が整う腹圧トレーニング

【改善事例】「座り方」を変えただけで、運転が劇的に楽になったお客様の声

「理論はわかったけど、本当に変わるの?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
実際に、毎日のように長距離を運転する40代の営業職の男性で、同じような悩みを抱えていた方がいらっしゃいました。
その方も、この「骨盤を立てる座り方」を徹底したところ、「今までの腰の重さが嘘のよう」「運転後の疲労感が全く違う」と、大変驚かれていました。

※効果には個人差があります。

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まとめ

  • 運転中の腰痛の主な原因は「骨盤の後傾」と「振動」です。
    無意識のアクセル操作や不適切なシート角度、車の揺れが腰に負担をかけています。
  • シート設定のゴールは「骨盤を立てて腰のS字カーブを保つ」ことです。
    ただ深く座るだけでなく、骨盤を少し前に倒す意識を持つことがポイントです。
  • こまめな「姿勢リセット」で、痛みの蓄積を防ぎましょう。
    信号待ちなどでできる簡単な運動が、長時間の負担を軽減する助けになります。

長年の運転で染み付いた癖を意識するのは、はじめは少し大変かもしれませんね。
しかし、あなたの体は意識することで必ず応えてくれます。

まずは次の運転から、シートに座る瞬間の”骨盤の角度”を少しだけ意識してみてください。
その小さな一歩が、快適なドライブライフを取り戻すための大きな変化に繋がるかもしれません。

参考文献

  • Bovenzi M, et al.『Occupational driving and lumbar disc degeneration: a case-control study』(2002)
  • Wilder DG.『The biomechanics of vibration and low back pain』(1993)
  • Alf Nachemson『The lumbar spine. An orthopaedic challenge.』(1976) を基にした整形外科学の一般的知見
  • Harrison DD, et al.『Sitting biomechanics, part II: optimal car driver’s seat and optimal driver’s spinal model』(2000)

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