「呼吸はできているのに体幹が頼りない…」そんな悩みを抱える方は少なくありません。
実は“お腹の底”で支える骨盤底筋が呼吸に同調していないと、いくら腹筋を鍛えても安定感が出にくいのです。
「骨盤底筋って産後ケアの話でしょ?」と思ったあなた。
呼吸と連動させれば、腰痛予防から姿勢改善まで幅広いメリットが期待できます。
この記事で仕組みとトレーニング方法をまとめて確認しましょう。
骨盤底筋は呼吸の“底フタ”ってどういうこと?
骨盤底筋が作る腹圧タンクの底面
骨盤底筋は恥骨・坐骨・尾骨を結ぶハンモック状の筋肉群。
横隔膜が下降して腹腔を押し広げると、この底面が下から支え、腹圧を閉じ込めます。
底が抜けると空気入りタイヤはしぼむ──それが体幹不安定の正体です。
横隔膜とのタイミングがズレるとどうなる?
吸気で横隔膜が下がる瞬間、骨盤底筋が“受け止め”で伸長。
吐気で腹圧が抜けるとリフトして引き上がり、腹横筋と共同でコルセットを締めます。
このリズムが崩れると腰椎が前後に揺れ、腰痛や尿もれのリスクが高まります。
骨盤底筋の効かせるコツやもう少し詳しく知りたい方はこちら
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妊娠・産後に骨盤底筋が弱りやすい理由
腹圧とホルモンのダブルパンチ
妊娠中は胎児の重みで常に下向き圧がかかり、リラキシンの作用で靭帯が緩みます。
産後もホルモン回復には時間差があり、骨盤底筋は“伸ばされっぱなし”の状態が続きがちです。
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自分でできる簡単チェック
仰向けで膝を立て、咳をしてみてください。
お尻に下向きの“押され感”が強い方はサポート不足のサイン。
産後半年以内の方や姿勢が保てない方はトレーニング優先度が高いと言えます。
骨盤底筋を呼吸に同期させるトレーニング
寝たままドローイン+リフト
- 仰向けで膝を立て、鼻から3秒吸う
- 口から6秒吐き切り、へそを背骨へ近づける
- 吐き終わりに肛門付近(肛門と性器のあいだの股の底)を引き上げるイメージでリフト(持ち上げる)
- 5呼吸を1セット、2〜3セット
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この動きに慣れておくとお尻の筋力トレーニングをメニューに組み込みやすくなります。
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立位ドローインで日常に応用
- 足幅を骨盤に合わせ、膝を軽くゆるめる
- ドローインで腹横筋を締めたらそのまま呼吸を続け、肛門付近を締めて引き上げる
- 息が浅くならない範囲で30秒キープ、3セット
いろいろなシチュエーションでもできるようにしましょう。
よくある間違いと修正ポイント
お尻をギュッと締め過ぎると臀筋で代償し、骨盤底筋が働きにくくなります。
リフト感覚がつかめない方は、椅子に浅く座り息を吐きながら肛門付近を持ち上げるとイメージしやすくなります。
まとめ
- 骨盤底筋は横隔膜とペアで腹圧を閉じ込める“底フタ”的存在
- 妊娠・産後は腹圧増大と靭帯の緩みで特に機能低下しやすい
- 吐く息に合わせたリフト練習で呼吸と同調させると姿勢と体幹が安定
骨盤底筋を呼吸とつなげるトレーニングは、道具いらずで今日から実践可能です。
まずは仰向けドローインでリフト感覚をつかみ、立位へと段階的にステップアップしてみてください。
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