SNSで話題の「ボキボキ整体」、試してみたいけれど首や腰に不安を感じる方も少なくないでしょう。
一度は味わうあの“スッキリ感”の裏には、思わぬリスクが潜んでいます。
この記事では、ボキボキ整体の仕組みと危険性をやさしく解説し、同等の効果をより安全に得られるPNFストレッチの方法までご紹介します。
ボキボキ整体とは?
関節を矯正する際に「ボキボキ」と音が鳴る施術方法です。
カイロプラティックの「スラスト」という技術がこれに当たります。
関節の可動域が改善されたり、固くなった筋肉がほぐれるなど、一時的な効果が期待できます。
関節が鳴る仕組みの解説
整体師が関節を一気に動かすと、中に溜まった小さな空気の泡がパチンとはじけます。
この“キャビテーション”と呼ばれる現象で、音を聞くと「効いた!」と感じやすいのです。
気泡がはじけると体内のセンサーが刺激され、一時的に筋肉がふわっとゆるみます。
症状が改善する仕組み
ボキボキ整体はキャビテーションが起こらなくても、効果があります。
整体師が関節をポンと動かすと、関節のまわりにある小さなセンサー(機械受容器)が「急に伸ばされた」と感じます。 このセンサーは筋肉の緊張を調整する司令塔のような役割を持っています。
急な動きに体が反応すると、まず筋肉の緊張を一気にゆるめる反射が起こります。
加えて、筋肉の中にあるゴルジ腱器官(GTO)というセンサーが張りすぎを感知し、「もっと緩めて」と指令を出します。
この二つの反射が合わさることで、一時的に筋肉のガードが外れます。
普段は固くて届きにくい関節の奥までスムーズに動かせるようになり、痛みの原因となるコリやこわばりが和らいで、体が軽く感じられる仕組みです。
SNSやショートムービーの拡散により認知拡大
ボキボキ整体は、動画映えしやすいコンテンツとお客さんのスッキリしたという表情で受けてみたいと思う人が実際に多いと思います。
しかし、部位によってはとても危険な施術です。
同じような効果は他の方法でも期待できるため、安易に受けるべきではないと思います。
覚えておきたい危険性
特に首(頚椎)への急激な操作は危険です。
40歳を過ぎると血管の内壁(内膜)が加齢で硬くもろくなり始めます。
血管が脆くなると、急な伸張で椎骨動脈などの内膜が損傷し、血栓(血の塊)ができやすくなります。
その血栓が脳の血管を詰まらせ、最悪の場合は脳梗塞を引き起こすこともあります 。
さらに、厚生労働省はこの危険性を理由に、頚椎に対する急激な回転伸展操作(スラスト法)を禁止しています (mhlw.go.jp, clpc.jp)。
これらは命に関わる事故につながるため、軽視できません。
ボキボキ整体ではなくても似た効果は起こせる
しっかりとした技術がある先生でないと、安心してオススメできないボキボキ整体ですが、無理にボキボキ整体をする必要がありません。
ボキボキ整体と効果が一緒?PNFストレッチとは?
PNFストレッチは固有受容性神経筋促通法の略です。
神経の反射を利用して筋肉をゆるめ、可動域を広げる手法です。
PNFストレッチで緩むメカニズム
筋肉や腱には張りすぎを感知して緩めるゴルジ腱器官があります。
収縮を約5秒保持するとこの装置が「緩めて」と指令を出しやすくなります。
同時に筋スピンドルの伸張反射も一時的に鈍り、痛みのブレーキが弱まります。
PNFストレッチのやり方
PNFストレッチは「伸ばす→力を入れる→ゆるめる」のサイクルで行う手法です。
まずターゲットの筋肉をゆるめた状態で軽く伸ばします。
次に反対側の筋肉(拮抗筋)に対して手やタオルで抵抗をかけ、約5秒間ギュッと収縮させます。
収縮が終わったら力を抜き、そのまま息を吐きながらゆっくり伸張を深めていきます。
これを1セットとして、合計3セット行うと神経の反射抑制が起き、可動域が広がりやすくなります。呼吸を止めずにリラックスしたまま行うのがコツです。
特定部位を狙う難しさとプロのすすめ
PNFストレッチは動きのタイミングと抵抗のかけ方が重要です。
慣れないうちは力を入れるタイミングがずれたり、狙った部位に効かないことがあります。
特に首や肩甲骨まわりなど微細な調整が必要な部位は、自分で行うのが難しい場合もあります。
その際はPNFに精通した整体師や理学療法士にお願いすると、安全に効果を引き出せます。
ボキボキ整体との比較
比較項目 | ボキボキ整体 | PNFストレッチ |
仕組み | 関節を急速に伸張して気泡の破裂(キャビテーション)や受容器を刺激し、反射的に筋緊張を抑制 | 拮抗筋に抵抗をかけながら〈収縮を約5秒保持→ゆるめて伸張〉を繰り返し、神経反射を抑制 |
刺激の強さ | 一瞬で強い力がかかる | 中強度の収縮保持+伸張なので、自分で強度調整しやすい |
即効性 | 1回で可動域が5〜10°程度広がる | 5秒保持×3セット程度で同様の可動域拡大が得られる |
安全性 | 施術者の技術・検査体制が不十分だと事故リスクが高い | 呼吸や痛みの感覚で強度を調整でき、自己管理しやすい |
技術難易度 | 施術者に依存 | 収縮保持のタイミングと抵抗のかけ方に習熟が必要 |
持続性 | 約15〜30分で効果が半減 | 継続的な実践で神経・結合組織の適応が促され、定着しやすい |
実践場所 | 整体院など専門の施術環境 | 自宅やジム、スタジオなど身近な場所で実施可能 |
このように得られる効果とリスクを比較すると、 ボキボキ整体にこだわらずとも同等のメリットを より安全に得られることがお分かりいただけるでしょう。
まとめ
- ボキボキ整体は一瞬の力で可動域を拡大する反射抑制手法だが、技術や検査体制不足で重大事故リスクがある
- PNFストレッチは「収縮5秒→弛緩伸張」を3セット行うことで同様の可動域拡大を安全に実現できる
- 特に首など繊細な部位はプロに依頼すれば、セルフより確実かつ安心して効果を引き出せる
これらを踏まえ、あなたの体に合った方法を選び、無理なくケアを続けることが大切です。
まずはPNFストレッチを試しつつ、安全な施術院選びを検討してみてください。
当店もそんな理由でボキボキ整体ではなく、
PNFストレッチを利用してお客様に矯正+ストレッチをご提供しています。
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